2017年12月3日日曜日

Newspicksアカデミア 岸勇希 「己を、奮い立たせる言葉。」


先日、宣伝会議で参加した 岸勇希×箕輪厚介「誰かを、奮い立たせる編集。」
に続いて、Newspicksアカデミアのイベント 岸勇希 「己を、奮い立たせる言葉。」
に参加してきました。

前回同様、箕輪さんとの対談だし、正直被る部分も多くあるんだろうなとか
思いながらの参加でしたが、どころが被る部分は殆どなく
ほぼほぼ新たな内容でそれはそれは、新鮮に楽しんで来ました。

中でも岸さんがおっしゃっていた

 ”入社3年目までは、思った事を何でも言う事が出来る権利。
 理由は言わなくてよい。理由を考えるのは上の仕事”

っていうのがすごく良かったので、早速翌日1,2年目の後輩にこの件をメールをしたら、
早速レスがきた。やっぱり、あるんだよね。みんなの素朴な疑問。

と云う訳で、以下メモ

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(先ずは、箕輪氏より、本に対する熱い想い)

箕:重版決定!ヒットメイカーなので、毎週重版の連絡はある。
 その中でも、この本は自分の企画で岸さんと作ったので、一際思い入れはある。
 自分自身も岸さんの言葉に支えられてきた。

(岸氏登場)

箕:そもそも、広告に興味があったのか?
岸:元々は、海洋水産学科。大学院に行くに当たり、教授に話を聞きに行くが興味も持てなかった。
 何故、興味を持てなかったのだろうか?
 自分が好きなモノは、自分が仕掛けてからの反応が早いものだった。
 速度がおそいもの(生物だと10年単位だったり)には興味は持てず、転換し
 早稲田大学大学院国際情報研究科へ。

 中央大学の教授の勧めもあり、電通へ。
 電通 中部市社配属/新聞・雑誌部 配属。

 友人が合コンで、電通と言ったら、「なんだ、デンソーじゃないの?」
 タクシーで「電通へ」と言ったら、中部電力の前でおろされたり
 東京に居ると気づかないが、エリアでは意外と認知が低い。


箕:コミュニケーションデザインという概念を提唱
岸:混沌とした状態を紐解き、脱する事が出来たら何か見出せるかも。
 広告の会社だから、広告で解決しなくてはならないというのに疑問が。
 ビジネスとして、1円貰ったら1円以上の価値を返したい。
 例えば、すごい旨いラーメン屋だけど、食器も店も汚いし、店員の態度が悪い。
 なんとかしましょうよ!と言ったら、
 「馬鹿野郎!ラーメン屋はラーメンの味で勝負しろ」
 と言っているようなもの。

 詰将棋みたいなものを考えた
 みんなが、怒っている時は、大抵ルールを言ってくれているから、
 それを溜めて行った。
 例)「お前、実績もねぇのに何言ってんだよ!」
   ⇒ 実績積めば良いってことですね。
   「売り上げてから言えよ」
   ⇒ 売上あげればよいんですね。

箕:メディアを研究している岸さんから見て、Newspicksみたいなメディアかどうか?
岸:使ってないから分からない。記事が多いので時間がかかる。
 その時間があるなら、クライアントに向き合った方が良い。
 コメントしている人たちも大変だなぁと。

 週刊誌でもネットメディアでも何でもよいけど、自分の業界に関しての記事とか読むと
 「嘘ばっか」だとおもうが、他の業界の記事を読んで納得するのはおかしい。


”猛烈に夢中に我武者羅に、の裏にあるファンタスティックさ”


箕:選ばれなかった言葉。
岸:僕の職業の場合は、全部繋がっている。休んでいる時間も食事も働いている時間も。
 なので、OFF-ONの境目がない。
箕:ファンタスティックさというか、仕事を楽しんでいる感じがすごいする。
岸:楽しくない事を何故するのかの方が、不思議。
 ひとつ、誤解されたら嫌なのは、
 あの本が 己を奮い立たせて耐えろ と思われてしまう事。
 あの本は、己を奮い立たせて、仕事を楽しめ という本。

 先日、金沢大学での講演のタイトルが 「それでも働く」
 最初、話が噛み合わない噛み合わないと思っていたら、
 そこに集まった学生の前提が 仕事は楽しくないもの と考えている。
 その背景は、
 「今が一番楽しいから、十分に楽しめ。社会に出たら大変だ」
 と言われ続けてきている事に起因している。

 それでも、食ってかかる学生がいるので、
 「ごめん、俺働いたことない。ずっと遊んでる。」

 大人の責任として、働くという事を
 「重い石を背負って、階段を上るようなもの」
 と教える人が居るという事。
 
 ショックだったのは、こんなに優秀でこんなに有望な若者たちが
 社会に出るのを怯えているという事。


”素朴な疑問は、口に出す”



箕:僕の好きな言葉を幾つか、パッパッパと。
岸:素朴な疑問って面白いもので、レベルが上がるにつれて段々と言えなくなる。
 でも、素朴な疑問には、真理が隠れている。
 僕らは、クリエイティブディレクターという職業。僕らの中でのルール。

 3年目まで:思った事を何でも言う事が出来る権利。理由は言わなくてよい。
 4~6:何故厭なのか?
 それ以上:どうすれば良くなるかをを考えて言う

 理由を考えるのは、上の仕事。
 そもそも、どうすれば良いというすごい案が出るのであれば上を超えてる。

 先日、ハヤカワゴミさんが、新聞読まない理由を「でかいじゃないですか」

 真理だと思った。それに対して、
 「バカ、仕方ねえだろう。そういうもんなんだよ」
 と言ったらおしまい。


”万人に愛されることを目指すな”


岸:広告というのは、多くの人に見られるのは 目立つ 必要がある。
 しかしながら 目立つ 事が叩かれるような風潮になっていた。

 ペルソナを設定して、その人に刺さるように
 一番嫌いなのは、今回のターゲットは、20代女性です。
 何だよその、ざっくり感!
 自分は、惹かれる位ターゲット像を明確に掘り下げる。

箕:尖って尖って、独断で独断で。その上で、普遍化していく感じ。


”クライアントですら自身の課題を分かっていない”



岸:先ず聞く事から始める。
 病院に行って、入ってきた瞬間に
 「インフルエンザB型ですね」
 とかありえないでしょ。
箕:どういうステップでクライアントと話して、解決策を絞っていくのか?
岸:最初は、うだうだ話しながら、見えたなと思ったら、一気に絞り込んでいく。
 大抵、自分の事は分からないもの。
 それを、指摘するのが大切という事と、それを聞いてもらえる人間になるということ。

 例えば、経営者は孤独なので、自分では薄々感じているが誰も言ってくれない事を
 言語化したナイフで突き刺されるのをも待っている。


”常に目標を疑って、疑って、目標を鍛える”



岸:プレイヤーは旗に向かって走るということを鍛えられる。
 これは、会社としては効率が良いが
 一方で最近まずいのは、
 旗を立ててるやつが馬鹿だから、旗を立っても何も起こらないとか。
 これは、旗を立てている人を非難している訳ではなく、
 マネージメント側に回った時の為の教育として
 常に目標を疑うという訓練をした方が良いという事。


”やる以上は徹底的にやれ。
 敵の頭と胴体が離れるのを見届けるまで、手を止めるな。”


岸:よくみんなが間違っているのは、「良い提案」をするということだと考えている。
 これは当たり前。
 そうではなく、「勝てる提案」をするということ。
 「悪い提案」は論外。「良い提案」で「勝つ提案」を。

 付き会っても居ない女の子との旅行プランを考えるようなもの。
 みすみす、あんなあいつに獲られるよりも、ちゃんと付き会って旅行に行きたい。

 自分が一生懸命考えている相手がみすみす死んでいくのを観ていられない。


”感動、夢中を与えることがリーダーの使命”



箕:どのように、感動、夢中を与えるのか?
岸:何もしない。自分が思いっきり楽しんでファンタスティックにやる。
箕:本当に自分が楽しめって事ですか?
岸:そうすることで、岸さんみたいにはなれないかもしれないけど、
 自分なりの楽しみ方を見つける。
 マネジメントとは、 状態×マネジメント。
箕:自分が状態を創れていないで、マネジメントなんて成り立たない。


”緊張させろ。されど萎縮させるな”

岸:自分にとっては、緊張はいい言葉。
 話は変わるけど、メディア芸術祭(?)でNewspicksのコメントに赤字入れてやろうかと。
 批評する人たちは、弾が飛んでこないと思っている。
 批評するなら、命がけでやれ!というのを芸術作品として。


"焦るな。沈む時を耐えて、次の次に備えよう遠回りしよう"



箕:次で勝とうとすると、自転車操業的になってどんどんダメになる。
 自分の中での時間軸を持って、勝負するという事。
岸:準備の時間は結構かかる。焦ると、準備が台無しになる。
 一手先、もう一手先をみていく。
 言うは易し、行うは難し。自分の軸を問われる。
 最近の若い人たちは、これだけSNSであらゆる人の最良の日々が目に入って来るとつらい。
 ある人の一生に一度のピークが1,000人居たら、毎日どこかでピークが起きている感じになる。

 *

Q&A


Q:最近の世の中の働き方改革と我武者羅なワークスタイルのGAPについて
岸:全て大人が悪いと思う。
 マネジメントの立場からいくと、会話をするようにしている。
 自分で考えて、自分の生き方を選ばせればよいと思う。
 今の問題は、会話が無く働き方改革というリザルトだけが提示されているようなもの。
 あの本を題材に考える機会になって欲しい。

Q:考え方について。例えば先の新聞デカイの次のプロセスについて
岸:思考方法として、大事にしている事があって、拡散と選択が大切。
 同じ人間が拡散と選択を同時にやらないということ。
 拡散フェーズでは馬鹿だなと思う事でも必ず外に出すという事が大切。
 拡散は誰でも訓練すれば、ある程度までは成長出来る。
 一方、選ぶというのが非常に難しい。経験が必要。
 自分で拡散して、目利きに選んでもらう。

Q:楽しむという感度、感受性を高めるのに意識していること
岸:空気を読まない事。
 例えば、死ぬほどサッカーが好きじゃない。
 よく言われるのが、この空気でよく言えますね。でも関係ない。
 楽しさって、自分がどう感じるかだけ。

 孤独だけは人を殺す事が出来る感情。
 それを解決するのは、「ありがとう」自分が居た事を承認して貰えること。
 肉を焼くのも、別荘を紹介するのも。
 だけど、サッカーは自分がありがとうと言われるチャンスが無い。

Q:日ごろのインプットをどのようにしているか?本やtwitterもそれほど活発ではなさそう。
岸:本は読んでない。ネットはすごい観ている。
 タイトルのみを大量に流し読みしてタグ付けこなっている。必要になった時に、深く読む。
 一番大切なインプットは体験。1回の体験から学べる事は非常に多い。
 つまらない、記事を読むのは時間の無駄。それよりも論文を読んだ方が良い。

Q:プレゼンの勝率を上げるためのストーリー作りとは
岸:プレゼンテーションをプレゼンテーションと思っていない。
 目の前に居る一人の人に「面白いね岸君、是非やろう!」 と言わせるだけ。
 グルーヴさせるのは、SHOWである。
 どういう事が、相手が気になるのか?相手がひっかかるのか?を考えるだけ。

Q:提案の順番。プレゼンテーションの順。
岸:自分が得意なのは、最初と最後。真中は同じ。
 それに応じて、プレゼン内容を全て変える。
 中間は、やりづらい。魔法がかかりにくい。
 先ずはルールを理解する事。ルールを理解せずに己を通そうとすると勝てない。

 ラブレターと一緒。相手の事を考えずに自分自分と書くとキモい。
 相手の事を考えながら、どう落とし込んでいくか。

(その他、プレゼンの「22の奥義」なるものがあるらしい)
(ネットで公開NGとのことだったが、〇〇法 みたいな感じで凄かった。)


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